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2026.08.17 建築現場日記

【古民家再生】新旧の美しさを調和させる。「建具の高さ」に隠された大工の細やかな工夫

古民家再生プロジェクトの現場より、今回も職人の細やかな意匠と技術が詰まった施工の裏側をご紹介します。

今回ご覧いただくのは、お部屋の仕切りとなる「建具(ドアや引き戸)の枠」を取り付けた現場の写真です。

一見すると、新しく綺麗な木材で組み上げられたシンプルな建具枠に見えますが、実はここには現代の一般的な住宅とは異なる「ある工夫」が隠されています。

それは、「建具の高さを、通常の住宅よりも少し低めに設計している」ということです。

なぜ、あえて高さを低く抑えているのか? そこには、新旧の空間を美しく馴染ませるための、造作建具ならではの理由があります。

① 既存の古建具や柱と「鴨居のライン」を綺麗に揃える

現代の既製品メーカーのドアや引き戸は、高さ2,000mm(2m)以上あるものが主流です。

しかし、昔ながらの日本の住まいは、当時の日本人の体型や暮らしに合わせて、鴨居や建具の高さが少し低め(約1,750〜1,800mm前後)に作られていました。

今回の古民家再生では、昔からこの家を支えてきた柱や、味わい深い「既存の古建具(引き戸や障子)」をそのまま活かして再利用する部分があります。

もし新しい建具枠だけを現代の標準サイズ(高め)にしてしまうと、部屋を見渡したときに既存の古い建具の高さと新しい建具の高さがチグハグになり、空間全体のバランスが崩れてしまうのです。

あえて高さを抑えることで、横にすっと通る「鴨居のライン」が綺麗に整い、新旧の建具がまるで最初からそこにあったかのように自然に馴染みます。

② 既製品では絶対にできない「自由なサイズ調整(造作建具)」

規格寸法が決まっている既製品のメーカー建具では、こうした「昔の家の寸法にミリ単位で高さを合わせる」という繊細な調整は困難です。

村木建築工房では、枠の施工から建具の製作までを自社の大工と建具職人の手仕事で行う「造作建具(ぞうさくたてぐ)」を採用しています。

  • 部屋全体の天井高や梁の出張り
  • 残す古建具や鴨居の高さ
  • 空間をくぐるときの落ち着いた佇まい

これら現場の状況を一つひとつミリ単位で測り出し、最も美しく見える高さで枠を組み上げていく。これこそが、オーダーメイドの造作建具ならではの強みです。

③ 日本建築ならではの「落ち着きと心地よさ」

少し高さを抑えた建具や引き戸をくぐる感覚は、どこか懐かしく、心をすっと落ち着かせてくれる和の情緒があります。

ただ新しいものに取り替えるのではなく、昔の家が持っていた「心地よいスケール感(サイズ感)」をそのまま受け継ぐことで、新しく生まれ変わった室内にもしっくりと馴染む温かみが生まれます。

「たかが建具の高さ」と思われるかもしれません。

ですが、こうした数センチのラインの揃え方ひとつで、完成したときの部屋の美しさや「居心地のよさ」は劇的に変わります。

図面上の計算だけでなく、実際の現場で古材や古い建具の表情を見極めながら、一番美しい形に納めていく。

村木建築工房では、職人の目と手仕事による丁寧な造作で、既製品には出せない世界にひとつだけの住まいをご提案しています。

次回も、こだわりが詰まった現場の進捗をお届けします。どうぞお楽しみに!

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