リノベするなら基礎から見直そう

建材・素材 2025.02.17

木造住宅のリノベーションを考える際、多くの方が間取り変更や断熱性能アップ、はたまた水回りの交換など、目に見える部分に注目しがちです。

しかし、住宅の安全性や耐久性を向上させるためには、目に見えない「基礎」の状態をしっかりと確認し、必要に応じた補強を行うことが欠かせません。特に、もしあなたが耐震性を高めたいなら、基礎の強度を確保することは極めて重要です。

この記事では、基礎の役割や現状の確認方法、リノベーション時の具体的な補強方法について詳しく解説していきます。

なぜ基礎の強度が重要なのか?

建物の重さを地盤に伝え、安定させる役割を持つのが基礎です。

基礎が弱いままでは、どれだけ建物自体を補強しても倒壊のリスクを避けることはできません。

特に1981年以前に建てられた旧耐震基準の住宅では、基礎の構造自体が現在の基準に満たないケースが多く、適切な補強を行うことが求められます。

基礎はどんな素材で出来ている?

現代の木造住宅では、基礎に鉄筋コンクリートを用いることが一般的です。鉄筋とコンクリートは、それぞれ異なる耐力を持ち、お互いを補完し合う形で強度を高めています。

・コンクリートは、圧縮に強いけれど、引張(引っ張る力)には弱い。

・鉄筋は引張に強く、コンクリートの弱点を補う。

このように、鉄筋が組み込まれた基礎(鉄筋コンクリート基礎)は、建物の重さという縦向きにかかる力だけでなく、地震などの水平に揺さぶられる力にも耐えられる構造になっているのですね。

古い建物は特に注意!

築年数が古い住宅では、鉄筋が入っていない「無筋コンクリート基礎」であるケースが少なくありません。

無筋基礎の場合、引張に対する耐力が低いため、地震時にひび割れや破壊が生じるリスクが高くなります。

鉄筋コンクリート基礎の場合は、コンクリートのひび割れや強度劣化がないかチェックして、既存の鉄筋が十分に機能しているかも確認が必要です。もしひび割れが進行している場合はエポキシ樹脂注入などで補修していきます。

無筋コンクリート基礎の場合、強度不足のため、増し打ちや耐震補強が必要になる可能性が高いでしょう。基礎の増設、つまり新たな鉄筋コンクリート基礎を付け加えたり、場合によっては全体的な基礎の打ち替えも考慮すべきかもしれません。もちろん、その分コストも上がっていきますから、村木建築工房では建替えも視野に入れつつ、お客様と一緒に検討していくケースも多いです。

基礎の強度の調査方法

いずれにしても、リノベーションを行う前に、基礎の状態を正確に把握することが重要です。そのためには、以下の方法で調査を行います。

鉄筋探査

電磁波レーダーを使って、基礎内に鉄筋があるかを確認します。

コンクリート強度試験

① シュミットハンマー試験

コンクリートの表面を叩いて、その硬さから強度を推定する試験です。

② コア抜き試験

基礎の一部を採取し、強度を正確に測定します。やや大掛かりな調査となります。

③ ひび割れ調査

ひび割れの幅や深さを測定し、構造的な問題がないか確認します。既存住宅状況調査(インスペクション)では、まずはこれらの指標で基礎のリスクを評価します。

具体的な基礎改修方法

基礎の状態を把握した後は、必要に応じた補強を行います。具体的な改修方法には、以下のような選択肢があります。

エポキシ樹脂注入補修

ひび割れ部分にエポキシ樹脂を流し込み、強度を回復する方法です。エポキシ樹脂は熱によって硬化するプラスチックで、強度や耐熱性に優れた樹脂素材。ひび割れが軽度な場合には、これらの注入固定が有効です。

基礎の増し打ち

もし基礎が無筋(鉄筋なし)だった場合、既存の基礎は強度不足となることがほとんど。その場合、既存基礎の外側に鉄筋を組み、新たにコンクリートを打設します。強度の高い基礎を並置することで補強します。

炭素繊維シート補強

基礎に炭素繊維シートを貼り付け、引張強度を向上させるもの。鉄筋コンクリートでも、ひび割れからの劣化・サビなどで鉄筋自体の強度に不安がある場合、このような補強も効果があります。

基礎の打ち替え

既存基礎が著しく劣化している場合には、「曳家」といって建物を一旦持ち上げて既存基礎を解体し、新たに鉄筋コンクリートを新設するという方法もあります。

現在の基準の基礎を作り直すため、圧倒的に強度を高めやすい一方、その作業量と難易度からコストも大きくかかります。基礎より上の建物をそのまま保存したい、などの強いニーズがなければ、建て替えた方が割安になってしまうこともあるでしょう。

リノベするなら基礎から検討!

リノベーションを行う際、基礎の状態を無視すると、せっかく大きな改修工事をしても、本来の性能を発揮できない可能性があります。

特に耐震性を向上させるには、基礎の強度がしっかりと確保されていることが不可欠です。

リノベーションを検討する際には、基礎部分も適切に調査し、状態に応じた補強を行いましょう。そうすることで、地震に強く、長く安心して暮らせる住まいへと生まれ変わります。

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