木の家づくりに興味がある方の中には、「板倉造りも気になっているんだけど価格はどれくらい？」「性能は悪くないの？」といったことが気になる方も多いのではないでしょうか。

板倉造りは、日本の伝統的な工法でありながら、現代の性能基準にも適応できるシンプルかつ高耐久な構造が魅力です。

村木建築工房でも、浜松を中心に板倉造りの住宅を多数手掛けており、実際の施工経験から得た知見を踏まえて、価格の目安や特徴、注意点をわかりやすく解説します。

板倉造りとは？

板倉造りは、柱や梁に溝を掘り、厚み30mm前後の無垢板を「落とし込む」ことで壁を作る工法です。

無垢材そのものが構造体兼仕上げ材となるのが特徴で、在来工法やツーバイフォー工法とは異なり、合板やクロスを使わず、木の質感そのままの住まいにすることも可能です。

板倉造りの価格相場

浜松エリアで板倉造りの家を建てる場合、延床30坪程度の家であれば建物本体価格で2,500万円からが目安です。

もちろん使用する材料や建物性能などによっても価格変動はありますが、良質な無垢材をふんだんに使ったり、施工技術の高い職人さんに施工していただくため、一般的な木造住宅に比べると10〜15%程度のコストアップするものだと考えていただければよいでしょう。

また、あらゆる建材の価格上昇が進んでいる現代においては、上記の価格はあくまで参考値。その都度、建築会社に費用感を確認するのが最も確実です。

いずれにしても、金額だけで見ればスタンダードな木の家に比べてやや高額なのが「板倉造り」の住まい。しかし、それを帳消しにしてくれるようなメリットもあるのです。

板倉造りの3つのメリット

1. 木の調湿作用で快適な室内環境

私たちが暮らす浜松は、湿気の多い夏と乾燥する冬の寒暖差が特徴的。断熱性や気密性を高めて快適な室内環境を作り出す必要があります。

熱伝導率が低い無垢材に囲まれていることは、そのまま暑さ・寒さを緩和してくれますし、温度と同じくらい心地よさに影響を与えるのが「湿度」の調湿も可能です。

板倉造りの厚い板壁は湿気を自然に吸放出してくれるため、年間を通して快適な空気環境を保ちやすくなるのです。

2. 高耐震性能と長寿命

南海トラフ大地震の到来も予見され、日本の中でもとりわけ地震リスクの高い東海エリア。住まい手の命と暮らしを守るため、耐震の高い住まいであることはもはや必須です。

板倉造りは柱間に分厚い無垢板を落とし込んで「面構造」を作ります。柱や筋交いで強度を担保するよりもはるかに高い強度を保つため、シンプルながら高い耐震性を発揮します。

非常に頑強な作りをしているため、将来的な性能の低下も少ないと見込まれます。

3. メンテナンスコストの圧縮

板倉造りの特徴は、構造として使用する無垢板仕を、室内の壁仕上げとしてそのまま見せられることですが、無垢材は耐久性が高いのが木材の大きな特徴です。

木組みで作られた寺社仏閣が数百年の時を経て現代にまで残っていることからも、それは疑いようもない事実です。

無垢材であればキズや汚れもサンドペーパーで簡単に補修可能ですし、そもそも手入れをする必要もありません。短期的な劣化が起きづらく、石油由来の短命な建材などに比べると、メンテナンスコストを大幅に削減することができるのです。

板倉造りを建てる際の注意点

正倉院や伊勢神宮など、日本の伝統的な建築工法として受け継がれてきた板倉造り。

私たち村木建築工房も、その歴史や機能などを後世に伝えるべく、板倉造りの住まいにも対応しています。

しかし、それは昔の建て方をそのまま踏襲するということではありません。酷暑や厳冬など、日本の四季も大きく変化していますし、断熱材や気密シートなどの建材も進化を続けています。

伝統的な工法だからと言って思考停止してしまうことは、本当の意味で伝統建築を受け継ぐことにはなりません。現代の設計知識や技術を掛け合わせ、時代に即した工法にブラッシュアップしていくことが、本質的に重要なことなのです。

浜松周辺で板倉造りを建てるなら

板倉造りは、自然素材の心地よさと耐久性を兼ね備え、浜松や周辺地域の気候にも適した家づくりの選択肢です。

価格は一般的な在来工法よりやや高めですが、メンテナンスの手間や長期的な住まいの価値を考えれば、十分に検討に値します。詳細はこちらのページでもご説明しています。

また、板倉造りの内装の雰囲気などは、私たちのショールームでもチェックいただくことが可能です。ぜひお気軽にご来場ください。

モデルハウス