「家を建てるなら、やっぱり木の家がいい！」

そんなお声をいただくことが増えてきました。

私たち村木建築工房としても、木という自然素材の魅力にはとても共感していますし、木の家を建てていただくことは喜ばしいことだと思っています。

一口に「木」といっても、家づくりに使われる木材にはいくつかの種類があり、なかでもよく比較されるのが「集成材」と「無垢材」です。

今回は、「集成材と無垢材、どちらがいいの？」という疑問にお応えしながら、私たちがどのように木を選び、どんな家づくりをしているのかをお伝えしたいと思います。

そもそも「集成材」と「無垢材」って何が違うの？

そもそもこれらの二つは何が違うのか。ご存じのことも多いかもしれませんが、今一度確認しておきましょう。

集成材とは

集成材とは、細かく切り出した木材を乾燥させた後、接着剤で張り合わせてブロック状に加工した木材のこと。

木の節や反りなどのクセを抑えることができ、規格化された安定した材料として、多くの住宅で使われています。

柱や梁としても、プレカット加工がしやすく、構造計算もしやすいというメリットがあります。

無垢材とは

無垢材は、一本の木から切り出した「そのままの木」です。

接着剤を使わず、自然のままの状態で使うため、木の香りや肌触り、経年変化による味わいなど、「本物の木」の魅力を最大限に感じられます。

一方で、反りや割れが起こることもあり、扱いには技術や経験が求められます。

集成材と無垢材、それぞれの特徴と注意点

これら二つの材料のメリットとデメリットについても比較してみましょう。

集成材のメリット

・品質が安定している

・加工しやすく、大量生産に向いている

・節や歪みが少ないため施工トラブルが少ない

集成材のデメリット

・接着剤を使用しているため、水分や湿気に弱い

・長期間湿気を含むと、接着部分が剥がれて強度が落ちる恐れがある

・木そのものの「呼吸」や自然な調湿性はあまり期待できない

無垢材のメリット

・自然な香りや手触りがある

・木本来の調湿性・断熱性を持つ

・経年変化で味わいが増す（色の深みや艶）

・接着剤を使わないので、化学物質に敏感な方にも安心

無垢材のデメリット

・乾燥状態が不十分だと反ったり割れたりすることがある

・加工に手間がかかる

・材の選定や施工に熟練した技術が必要

結論は「使い方次第」

前述の通り、集成材と無垢材にはそれぞれ特徴や長所・短所があります。「適材適所」という言葉が示す通り、適切な使い方をしていれば、集成材と無垢材はどちらも「よい」ということになるわけですね。

その上で、注意点を述べるなら、集成材の「低耐水性」でしょうか。集成材が決して “濡らしてはいけない材” であるということは、とりわけ気をつけておくべきでしょう。

なぜなら、集成材は接着剤で貼り合わせてある構造のため、もし雨にさらされ続けたり、湿気がこもるような施工がされていれば、将来的に“剥離（はくり）”を起こし、構造的な不安を抱えることにもなりかねません。

そのため、「雨仕舞い・水漏れ対策がしっかりしている家」であることが大前提。新築時に雨漏りしないのは当然として、後年の劣化にも対策が取られていたり、耐久性の高い建材を選んでいることが必須です。（もちろんこれらのことは、集成材の使用有無に限らず重要なことでもあります）

上記のリスクに対策がなされていれば、集成材でも全く問題ありません。実際に多くの住宅で使われている理由も、コストや安定性を考慮したうえでの合理的な判断だと言えます。

村木建築工房が使うのは？

あなたが気になるのは「じゃあ村木建築工房さんはどちらを使っているの？」ということかと思います。

上記のような内容を踏まえて、私たちが使っているのは「無垢材」です。

その理由は大きく二つあります。

一つ目は、「安心して永く住める家」をつくるなら、無垢材のほうが安心だと考えるからです。

というのも、現代の新築の建物に求められる寿命は、これまでの比ではないくらい長期間だからです。30年程度で解体し、建て替えてきた昭和・平成の常識は、今や通用しません。

これから建てる家は、100年の長きにわたって住み繋いでいくものにしなければいけません。

住宅会社として、雨漏りしない建物をつくるのは当然ですが、長い年月の間には、どのような劣化が起こるか分かりません。大きな災害の被害を受ける可能性もあるわけですし、水漏れだってあり得ます。

想定外のことが起きて、万が一雨水が侵入してしまった時にも、乾けば強度が保たれるのが無垢材。だから私たちは無垢材を選んでいるのですね。

また、二つ目は「地域の材料を使うのが村木建築工房のスタイルだから」です。

私たちが構造材・仕上げ材として使うのは、地元天竜の無垢の杉・ヒノキ。これにもいくつかの理由があります。

① 地域の気候風土に合っている

地元の木は、長年その土地の気候の中で育ってきた木。つまり、その地域の気温、湿度、風、日照といった自然条件に耐えてきた木だから、同じ地域の家の構造材としても無理がありません。

② 輸送エネルギーが少なく、環境負荷が低い

外国産材や遠方の材を運んでくるには、大量のエネルギーを使います。地元材なら、運搬のエネルギーコストが抑えられ、脱炭素社会やSDGsの観点でも優れた選択です。住まいの持続可能性は村木建築工房が取り組む大きなテーマの一つです。

③ 山を元気にし、地域経済が循環する

木を伐って使うことで、山に光が入り、新しい木が育ちます。林業が活性化すれば、山の手入れが進み、土砂災害の防止にもつながります。そして、製材所や大工、設計士など、地域の人たちに仕事が生まれ、地域全体の健全な循環を生み出せるのです。

家づくりと木づかい

私たちのような地域工務店にとって、無垢材は “扱いが難しいけれど、信頼できる素材” です。

施工には手間も時間もかかりますが、そのぶん、住まい手の安心や満足度、そして家そのものの寿命につながると考えています。

集成材と無垢材、どちらがいいか？ その答えは単純ではありませんが、大切なのは、それぞれの素材の特性を正しく理解し、適切に使いこなすことです。

木を選ぶことは、家の寿命を左右するだけでなく、山や地域の未来にも関わること。家づくりを通じて、住まい手と地域をつなぐ。そんな家を、私たちは一棟一棟、丁寧につくっています。

より詳しいお話にご興味があれば、ぜひショールーム・モデルハウスへお越しください。

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